自然の恵みをたっぷり受けて育った絶品『原木しいたけ』

「せとなか百貨店」は、三原市の地域産業が生み出した数々のスグレモノが集まっています。その種類はバラエティに富んでおり、自分へのご褒美や手土産に最適なグルメの数々、事業者の職人が丹精込めて作る機能性を重視した寝具や衣類品、家具、美容品、生き物までさまざまな商品を展開しております。

せとなか百貨店では、三原市ならではの商品の魅力や、作り手の想いを発信していきます。ぜひ瀬戸内の楽しさ、面白さ、美味しさに出会ってください。

 

自然の恵みをたっぷり受けて育った絶品『原木しいたけ』

 

第12回目にご紹介するのは、『野菜果物の収穫体験すーさんファーム』を営んでいるオーナーの鈴木章さん。 すーさんファームで栽培している農作物は幅広く、多岐にわたります。

その中で、鈴木さんが現在最も注力しているのが『原木しいたけ』です。
原木しいたけは一般的にスーパーで販売されている「菌床(きんしょう)しいたけ」と比べ、肉厚で濃厚な味わいが特徴。

原木しいたけの栽培は手間がかかり重労働ですが、鈴木さんは”おいしいしいたけをつくりたい”一心で栽培を行っています。
鈴木さんに原木しいたけのおいしさの秘密と、自身が営む農園への想いを語っていただきました。

 

 

原木しいたけは肉厚で食べ応え満点

すーさんファームの「原木(げんぼく)しいたけ」は、とにかく肉厚で食べ応え満点。
しいたけの傘は大きく厚く、茎は親指ほどの太さです。
「お客様が、しいたけの傘の裏を見て、その厚みにびっくりして買っていかれるんです」
というほど。

食感は歯ごたえがあり、プリッとジューシー。しっかりとした香りと味わいは格別です。
「スーパーで売っているしいたけとは、味が全然違うんですよ」と、鈴木さん。

原木しいたけは、その肉厚と食感から「森のアワビ」とも呼ばれています。
鈴木さんのいちばんのおすすめの食べ方は、いたってシンプル。

「水で戻したしいたけをレンジでチンして牡蠣醤油かポン酢をつけて”がぶっ”と食べるのが醍醐味ですね。お酒にもよく合いますよ」

その他天ぷらや、スライスしてラーメンやうどんに入れるのもおすすめとのことです。
素材の味がしっかり生きているすーさんファームの『原木しいたけ』をぜひお試しください!

 

 

しいたけは栄養豊富で低カロリー

しいたけはおいしいだけでなく、うれしい栄養成分がたっぷり。
悪玉コレステロールを低下させ、動脈硬化や高血圧予防に効果があるといわれる「エリタデニン」をはじめ、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、DNAの働きを助ける葉酸、体内の余計な水分を排出するカリウムなどが含まれています。

また免疫力を向上させるといわれるβ-グルカンも豊富です。
なお、しいたけを乾燥させると栄養素が濃縮され、特にビタミンDは生しいたけに比べ3倍にアップするというデータがあります。

干ししいたけには生しいたけの約10倍もの食物繊維が含まれており、便秘にも効果的。
カロリーは大5個の可食部でわずか42キロカロリー。

低カロリーで栄養価が高い原木しいたけはダイエットにも最適です。
しいたけは、健康や美容に関心がある方に自信を持っておすすめできる万能食材です。

 

おいしさの秘密は自然栽培

すーさんファームの原木しいたけのおいしさの秘密は、栽培の方法にあります。
スーパーなどで一般的に生しいたけとして販売されているしいたけは「菌床(きんしょう)しいたけ」と呼ばれているもの。

菌床しいたけは、木を粉々にしたオガクズと栄養剤を混ぜた菌床に菌を入れて室内で栽培します。別名「人口栽培」とも呼ばれています。

温度や湿度を管理し定期的に栄養を与えるため、栽培から収穫までの期間が短く生産が安定しており、安価で手に入るのが利点ですが、味や風味は弱めです。
また、菌床しいたけはカビの発生や虫害を防ぐために薬剤を使用しますが、この薬剤の味が苦手という人もいるのです。

一方、原木しいたけは屋外で栽培されるため「自然栽培」とも呼ばれます。
天候の影響を受けやすく、菌床しいたけと比べ栽培期間もかかるため、価格は高めですが、味はしっかりとしており肉厚で食べ応えは満点です。

肉厚で濃厚な食べ応えが味わえるのは『原木しいたけ』なのです。
原木しいたけは木の養分がしいたけの栄養となるため、人工的な養分は必要ありません。

 

 

厳しい自然の中で試行錯誤を繰り返す

原木しいたけの栽培は屋外で行われ、大変な労力を要します。
鈴木さんは毎年12月に、自らしいたけの原木となるカシやどんぐりの木を伐採します。

2月に伐採した木を1mほどの長さに切断し原木をつくり、しいたけの菌を植え込みます。
しいたけの菌は木の養分を吸収して育って培養していきます。

原木しいたけは気候の影響を受けやすいという難点があり、安定した栽培が難しいのだそうです。
特に夏に弱く、暑さと乾燥で原木も菌も死んでしまうことも多いのだとか。

「本来は山の中で最適な環境があればいいのですが、なかなかないし行くのも大変なので私は場所を借りてやっています。遮光ネットを張って暑さ対策はしているものの、水まきは欠かせません。

暑すぎて水まきができない時もあり、その影響で収穫が減ってしまったこともあるのですが、年間で作業できればいいと考えを改めました。
今は毎週水曜日の午前中に水まきをすると決めているんです」

鈴木さんはさらに安定した収穫ができるよう、しいたけの菌の種類を変えました。
通常原木しいたけは春に植菌をし、翌年の秋から芽が出始めますが、鈴木さんが2023年から独自のルートで仕入れたタネコマ(原木に打ち込むしいたけの菌のこと)は、春に植えてその年の秋に収穫ができるのです。

自然と向き合いながらも、安定した収穫ができるよう試行錯誤しながら一歩一歩進んでいます。

 

 

人との縁でつながれた「すーさんファーム」

鈴木さんが農作物を作り始めたのは、実は数年前のこと。以前は事務機器の会社を34年間経営していました。
会社を売却後、知人から障がい者雇用の施設長を依頼された時に、原木しいたけの栽培と出会ったとのことです。

原木しいたけを育てる楽しさとおいしさに魅せられ、施設長を辞めた後は自分の農園で栽培を始めました。
鈴木さんは人脈が広く、さまざまな方面の人たちと交流があります。

畑に使用する堆肥やお米のもみ殻を安価、もしくは無料で手に入れているそうです。
化学肥料ではなく自然の肥料を使用しているため、安心でおいしい農作物を生産することができるのです。

また、もみ殻を蒸し焼きにし炭化させた”くん炭”は畑の土壌改良に役立つのだそうです。
前出の短期間で収穫できる菌は、同業の方から教えてもらったとのこと。

鈴木さんは障がい者施設ともパイプがあり、障がい者の方に草取りや木の運搬を依頼し工賃を渡しています。
「山の整備や木の運搬は大変な労力を要しますが、障がい者の方は喜んで手伝ってくれるし、うちも助かるんです」

すーさんファームは鈴木さん自身だけでなく、地域の人びともハッピーにし、よい相乗効果を生んでいるのです。
「出会いがいいように重なった」と謙遜しますが、鈴木さんの人柄が周りの人を惹きつけてやまないのでしょう。

 

自身も地域の人も楽しめる農園づくりを

現在農園では、原木しいたけの他に、にんにく、レンコン、ぶどうなどを植えています。

「すーさんファームは”寄せ集め”なんです。それに私は挿し木で植物を増やすのが大好きなんですよ。
例えばブドウの木は切ったら燃やしてしまいます。それがもったいなく木がかわいそうで、挿し木にするんです。11月に挿し木をして翌年の4月に芽が出るんですが、その年にブドウをぶら下げるのもあるんですよ」

そう語る鈴木さんからは、時に自然に対して無力を感じながらも、自然との対話を心から楽しんでいる様子が伝わってきます。

すーさんファームの原木しいたけは、現在JA運営の「やっさふれあい市場」三原店・本郷店で購入することができますが、今後は販路を拡大をするのではなく、お客様に直接来ていただける農園を目指したいとのことです。
地元の人たちに楽しんでもらって、実物を見て食べてもらいたいのだそうです。

鈴木さんのビニールハウスではバナナの木も栽培しています。
「バナナの栽培は難しく、植えてもうまくいかない人が多いんですが、来てもらえたら送料もかからないし、栽培の仕方も教えて差し上げますよ」

さらには、来園者にはこんなうれしい特典も。
「雑草を取ってくれればいくらかの野菜を持って帰っていいですよ、ということにしています。収穫した分だけ草を抜いて帰ってくださいと。だから草が増えていないんです」

来ていただいた方に楽しんでもらえるよう、アイディアは湧いて尽きません。
人に喜んでもらうことはもちろん、自身が農作物の栽培と農園の運営を心から楽しんでいる鈴木さん。
すーさんファームが今後どんな変貌を遂げるのかを見守っていきたいと思います!

 

原木しいたけは秋ごろ出荷されます。夏は黒にんにくを栽培しています。

原木しいたけは秋ごろ出荷されます。夏は黒にんにくを栽培しています。

 

野菜果物の収穫体験すーさんファーム

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